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参加者の声

富士山八合目山小屋における救護研修
2010年 7月16日~ 8月29日(うち2泊3日)
富士山救護研修に参加して
聖マリアンナ医科大学 研修医

近年、登山ブームで富士山に登る人の数は相当いる。ガイドブックによると、ひと夏に20万人も富士山へ登頂するらしい。それだけの人数が登山すれば、もちろんけが人や病人もかなりでてしまう。
今回、私は富士山8合目の診療所のお手伝いせていただいた。富士山富士吉田登山口の8合目に山梨大学がボランティアで診療所をおこなっているものである。医師1名以上、薬剤師、看護師、学生など診療補助員3名、あわせて4人で2日間ずつ交代で、診療所に待機し、診察をおこなう。
私がいた2日間では延べ40人近くの方が来所している。8割方は吐き気、嘔吐、頭痛などの軽い高山病が多く、残りは捻挫、挫創などの外傷である。しかし、毎年2,3人の方々が不整脈や転落などで命を落とす。
診療所には、いくつかの内服薬と、いくつかの点滴、心電図があるだけであった。緊急を要する場合、自力下山ができない場合は、ブルドーザーで搬送していただく。

某日AM11時、前回メンバーと引継ぎをおこない、勤務開始。
私は、初日午後時間を頂き、山頂まで登頂してみる。少しうごくとぜーぜー。と呼吸が荒くなる。天気があまりよくなく、麓まであまりよく見る事ができない。しかし、山頂へ到着した時の達成感は何ともいいがたいものであった。天気が良い山頂を体験したいと思ってしまった。これが、また登りたくなるきっかけになるのだろう。
16時、診療所に戻る。なんと、8合目登山道は行列ができはじめる。山小屋のトイレも行列。
19時山小屋の方にお食事を頂く。山小屋の中は、仮眠をとる宿泊客でごった返している。
この頃より、自分も吐き気・頭痛など高山病の症状をきたす。高山病は、高地到着後6-12時間で発症しやすいと言われている。安静、水分補給にて改善。
23時頃より、登山道は大行列になっている。徐々に来所される方も増える。
2時頃、診療所上の登山道で、動けなくなっている患者ありと連絡がくる。あわてて防寒具をきて(外はひと桁の気温)ライトを持ち、現場へ向かう。現場へ到着すると、患者はすでに回復。高山病による四肢のしびれであった。患者と同グループのメンバーも体調不良を訴える。ひとまず皆で診療所まで下山していただく。全員、高山病であった。ご来光見たさにハイペースで登り、体調不良をきたしたのだろう。休養をとり、下山を勧める。
4時頃、周囲が明るくなる。
5時、8合目診療所からもご来光がみえた。とても寒いが、神秘的な景色をみる事ができた。普段から見ている太陽なのに、同じものとは思えない。
6時頃、山小屋の方に朝食を頂く。その後、夜は患者さんも多いため、一番患者さんの少ない午前中は仮眠。
午後も、来所者は少ない。
16時、下山中に足を捻ったと連絡あり。ブルドーザーで駆けつける。下山中の捻挫であり、テーピング固定し、ブルドーザーで5合目まで搬送して頂く。
再度、登山者が増えてくる。週末であり、前日よりさらに渋滞している。それにともない来所者も増える。多くは、高山病であるが、中には擦り傷、虫さされなどの外傷もいる。
再び、同じように神秘的な太陽が昇るまで、登山客でごった返している。
翌日、10時次のメンバーが到着。引き継ぎをし、捻挫をして自分が診療所にお世話にならないように注意を払いつつ、下山する。下山後の温泉はとても気分のよいものであった。

登山ブームの影では、様々な方の協力により皆が安全に楽しめている。診療所だけでも、実際に、診察に携わっているものだけでなく、準備をして下さっている山梨大学、お食事等を提供して下さっている山小屋の方、様々な方の協力があってこそ、である。
さらには、今回、私が3日間山でいつもと違う体験ができたのも、3日間お休みを下さった現在の診療科の指導医の先生のご理解があってのことだ。ボランティアとは、実際に協力する方のみならず、色々な方の支えで運営されているものである。また、何かの機会でお役に立てる事があれば、お手伝いしたい。たった3日間ではあるが、貴重な体験をさせて頂いた。

ボランティアの診察というと、海外などの長期で大規模なものを想像しがちであるが、たった3日間でも協力できることもある。さらには、自分のためにもなる。機会があればまた、是非参加させて頂きたい。